リューディのシャンパーニュ、クール・ド・キュヴェがエレガントに進化
- 2014/12/13
- 00:49

シャンパーニュは進化する。 熟成という意味ではない。細かな調整によって、気候や時代の変化に対応している。温暖化が進み、ルイ・ロデレールもモエ・エ・シャンドンもドザージュを減らした。大手メゾンがノンドゼを造り始めた。 チューニングを怠る造り手は退化していく。シャンパーニュは技術的に調整できる余地が大きい。昔の方程式に固執すると遅れをとる。のれんの味を守るラーメン屋が、昔はおいしかった……と言われるよ...
アヴィーズから不思議にトロピカル、アラン・ティエノーのラ・ヴィーニュ・オー・ガマン
- 2014/11/19
- 22:52

シャンパーニュのメゾンを興すのは難しい。第一に資金力。醸造設備を整えて、醸造を始めても、数年はキャッシュが手に入らない。次にブドウ。いい畑は大手メゾンが買いしめているから、これも手が届かない。 1980年代に相次いで創設したメゾンのブルーノ・パイヤールとアラン・ティエノーが、ブローカー出身だったのは偶然ではない。資金力は別として、栽培農家と畑を知り尽くしている。ブローカーはメゾンと農家の橋渡しをした...
安定した醸造責任者、ゴッセ・セレブリスの醍醐味
- 2014/11/04
- 16:40

ゴッセのイメージは、江戸前にこだわる頑固な寿司屋だ。洋風のつまみなど出さず、ネタに丁寧な仕事を施して、煮切りをぬって食わせる。外れがない。 エペルネに移転して新しくなったメゾンで、醸造責任者のジャン・ピエール・マレネと、様々な話をした。ゴッセと言えば、マロラクティック発酵(MLF)を回避するのがトレードマーク。ルイ・ロデレールも必要がない限りMLFはしない。ただ、両者の発想は微妙に異なる。 ロデレール...
ノンマロと澱熟成の効用は?ランソンのヴィンテージ・コレクション1990
- 2014/07/28
- 23:44

ランソンのヴィンテージ・コレクションは、澱と共に長期熟成したシャンパーニュのファンには、たまらない贈り物だ。マグナム瓶のみで、1976年から2002年まで15ヴィンテージが用意されている。 本社で、醸造責任者のエルヴェ・ダンタン氏と1990年を試飲した。1か月前にデゴルジュマンしたばかりのもの。ドザージュはリットル当たり3グラム。香りは複雑で、味わいはフレッシュ。クリーミィで、マカデミアナッツのような複雑な香り...
熟成は王冠よりコルク、ペテルスのシェティヨンで体感
- 2014/07/26
- 23:17

王冠のスパークリングを時たま見かける。気軽でいいが、シャンパーニュでは許されていない。熟成に問題があるからだろう。 ただ、瓶内二次発酵中の栓は、圧倒的に王冠が多い。ジャック・セロスやエグリ・ウーリエのような「樽派」ですら王冠だ。アグラフと呼ばれる留め金でコルクを留めているのは、ボランジェ、ベレッシュ、ドン・ペリニヨンのエノテークなど一握り。今や市場から消えたアラン・ロベールも、コルクで留めていた...
シャンパンファイトに映える、ボーモン・デ・クレイエール
- 2014/07/26
- 00:18

浜辺から居酒屋まで、色々な所でシャンパーニュを飲んだが、初めての体験だった。客席でシャンパン・シャワーを見るのは。 エペルネ近郊のミシュラン1つ星。ホテルレストラン「オステルリー・ラ・ブリケットリー」のダイニングでのことだ。巨大な銀のクーラーに3本のシャンパーニュがさしてあった。この地によくある演出。気分は盛り上がる。給仕長が音もたてずに栓を抜く……。 と思いきや、爆発音がした。泡の嵐が、すぐ横にい...
ウィリアム・ドゥーツ2000、完全復活を実感
- 2014/07/24
- 07:14

シャンパーニュとボルドーは似ている。ディテールのチューニングと、それを可能にする投資が必要な点で。メゾンからレコルタン・マニピュランまで、話が深くなると、同じような結論に行き着く、という思いを何度もする。 シャンパーニュのNVはいつ飲んでも同じ味。と思っていると取り残される。優れた造り手は努力を怠らない。いつまでも同じ味わいでは、改良を図るほかの生産者に遅れをとる。老舗の味を守るラーメン屋が忘れら...
ボランジェ、馬でVVフランセーズの畑を耕作
- 2014/07/23
- 06:26

シャンパーニュでも、馬による耕作を導入するメゾンが増えている。 レコルタン・マニピュランのアグラパール、ジョルジュ・ラヴァル、ブノワ・ライエらは、早くから取り組んでいて、ライエはブジー村の外れで自分専用の馬を飼育している。メゾンでは、最大のビオディナミ畑の所有者であるルイ・ロデレールも導入しているが、ボランジェも5年前から取り組んできた。 ボランジェが馬で耕作しているのは、優良年に2000~3000本し...
アルフレッド・グラシアン1979、シャルドネ版クリュッグ
- 2014/07/22
- 04:52

樽で醸造するシャンパーニュが増えている。レコルタン・マニピュランはもちろん、大手のヴーヴ・クリコやランソンも導入している。だが、小樽を長年使っているメゾンと言えば、クリュッグ、ボランジェ、アルフレッド・グラシアンが御三家だろう。 そのアルフレッド・グラシアンで面白い体験をした。醸造責任者のニコラ・ジェジェ氏と、ドンペリニヨンの話になった。P2-1998と3度目のプレニチュードを迎えた1971を先週、オーヴ...
ヴェルズネイの注目株、ペユ・シモネの単一畑
- 2014/07/21
- 05:01

シャンパーニュで困るのは、シャンパーニュしか飲めないことだ。造り手で数十種類も試飲して、昼食も必ずシャンパーニュ。愛好家の方からはうらやましがられるが、さすがに飽きてくる。申し訳ないけれど。 ヴェルズネイに本拠を置くレコルタン・マニピュランのペユ・シモネには救われた。当主ダヴィット・ペユが誘ってくれたのは、リュードのバル。店内には、泥のついた半ズボン姿の働く男たちばかり。東京で言えば、下町の定食...
シャンパーニュ出荷、アジア、オセアニアで伸び
- 2014/07/21
- 04:45

シャンパーニュの新興国への出荷が伸びている。 2013年の世界への出荷量は、3億497万本で、前年の3億859万本から横ばいだったが、アジア、南米、オセアニアの増加が目立つ。アジアでは、フィリピンが27%、モルジブが23%、カンボジアが64%など大幅に増加している。フィリピンは9万6000本、モルジブは9万本、カンボジアは3万1000本。ニュージーランドとオーストラリアは、25%、11%の伸びで、それぞれ38万7000本、602万本。31...
シャンパーニュ、世界遺産登録向け大詰め
- 2014/07/20
- 03:50

シャンパーニュ地方の「丘陵、メゾン、カーヴ」が来年6月の世界遺産登録に向けて、大詰めを迎えている。 文化的風景のカテゴリーで立候補し、6000ページからなる報告書を提出して、今年末の委員の最終評価を待っている。対象として上がっているのは、オーヴィレール、アイ、マレイユ・シュール・アイなどの丘陵、ヴーヴ・クリコ、リュイナール、テタンジェ、ポメリー、マーテル、シャルル・エドシックの計6つのクレイエールを...
ポメリー、クロ・ポンパドール2003を年末に発売
- 2014/07/20
- 03:48

シャンパーニュのメゾン、ポメリーはランスの敷地内にあるレ・クロ・ポンパドールから造る単一畑のレ・クロ・ポンパドール2003年を、今年末に発売する。 クロ・ポンパドールはメゾンの建物の背後に広がる25ヘクタールの畑。最高醸造責任者のティエリー・ガスコ氏によると、シャンパーニュ地方にはクロ・デュ・メニル(クリュッグ)、クロ・デュ・ムーラン(キャティア)、クロ・フォブール・ノートルダム(ヴーヴ・フルニ)、ク...
シャンパーニュは順調に生育、9月第1週に収穫か
- 2014/07/19
- 05:52

2014年のシャンパーニュは、今のところ順調な生育が続いており、9月第1週の収獲が予想されている。 冬は雨がちだったが、春先に軽いヒョウ害があっただけで、開花は順調に進んだ。先週は雨続きで、冷涼だったが、今週は晴天と30度を超す高温が続いている。ブドウは健全に育っているが、一部で暑さによる日焼けも出ている。 キュイの造り手ピエール・ジモネのディディエ・ジモネ氏は、「昨年の収獲は9月30日開始だったが、今...
単一畑クロ・デ・ランソン、来年春に発売
- 2014/07/18
- 04:30

シャンパーニュのメゾン、ランソンは、敷地内にあるクロ(石垣)に囲まれたクロ・デ・ランソンの単一畑から造るクロ・デ・ランソン2006年を来年春に発売する。 クロはランス市内にあるランソン社の従業員駐車場に隣接する形で広がる。市街地にあるブドウ畑は少なく、マンションや住宅に囲まれて、気温が高いため、ブドウの成熟は早く、糖度も上がる。1ヘクタールの畑にシャルドネのみを栽培している。 醸造責任者のエルヴェ・...
オーヴィレール修道院で、至福のドンペリニヨン・エノテーク1971
- 2014/07/17
- 13:54

スウェーデンの評論家リカルド・ユリンに「4000シャンパーニュ」という著書がある。私も数だけなら1000本くらいはシャンパーニュを飲んだとは思うが、その中でも3本の指に入る体験を、ドンペリニヨンがシャンパーニュ造りの基礎を築いたオーヴィレール修道院でした。 ドンペリニヨンのシェフ・ド・カーヴ(醸造最高責任者)リシャール・ジョフロワがプロモーションで来日している最中に、修道院を訪ね、最新の「エノテーク ...
AFはワインも食事もJALをしのぐ
- 2014/07/16
- 13:06

飛行機ではおおむねシャンパーニュしか飲まない。理由はいくつかある。 アルコール度が低いから、仕事に響かない。スティルワインにろくなものがない。気分が上向きになる。 JALのマイレージで乗ることが多いが、シャンパーニュでも、スクリューキャップのピッコロ瓶はよろしくない。熟成も短いに違いない。広がりがない。シャンパーニュの生産者はみな、マグナムが理想のいれものだという。ずいぶん昔は、JALもポメリーをマグ...