ブルゴーニュを象徴、ルシアン・ル・モワンヌのクロ・ヴージョ2015
- 2016/07/13
- 02:22

ムニエ・サウマとの試飲は緊張を強いられる。頭の回転が速く、こちらの能力も試されるからだ。エージェントの坂口功一さんに同行いただいたおかげで、グランクリュの2015を試飲できた。「コーイチは私にとってグランクリュだから。2015の試飲は頼まれても断ってきた。あなたが世界で初めてのジャーナリストだからな」と。最初から飛ばす。白はアルコール発酵中で、赤はマロラクティック前や途中のキュヴェが多かった。 「クロ・...
シャサーニュの次代のスター、ピエール・イヴ・コラン・モレ
- 2016/07/12
- 02:08

シャサーニュ&ピュリニー・モンラッシェ、ムルソーに、新世代の造り手が台頭する中で、ピエール・イヴ・コラン・モレは間違いなく、スター候補の1人だ。 サン・トーバンに拠点を置くマルク・コランの長男だが、独立してシャサーニュ・モンラッシェにモダンなドメーヌを構えた。1995年から10年間はマルク・コランの醸造を担当したが、ジャン・マルク・モレの娘カロリーヌと結婚したのを機に離れた。長男がドメーヌを継ぐのが普...
1978のエレガンス、ユベール・リニエのモレ・サン・ドニ
- 2016/07/11
- 01:42

ブルゴーニュの2015年は米国人好みのヴィンテージだ。日照に恵まれ、2009のように濃厚。モレ・サン・ドニとジュブレ・シャンベルタンから優れたワインを造るユベール・リニエで、赤ワインを試飲して感じた。 「モレ・サン・ドニ トリロジー 2015」は、シェネヴェリ、クロ・ソロン、レ・ポローの3区画のブレンド。マロラクティック発酵が終わったばかり。乳酸のニュアンスが残っているが、ブラックベリー、スモーク、シナモン...
ブルゴーニュの今昔、マルク・コランとベルナール・モレイに聞く
- 2016/07/09
- 02:29

ブルゴーニュも市場の影響を受ける。シャサーニュ・モンラッシェ村は1960年代、ピノ・ノワールとシャルドネの栽培比率が6対4だった。2005年にはこれが逆転した。白ワインのイメージが高まり、植え替えが進んだのだ。エドモン・ドラグランジュ・バシュレが60年代初頭、1級モルジョで赤を白に植え替えた時は、協同組合が大騒ぎし、INAOが仲介に乗り出したそうだ。 モルジョはピノ・ノワール向きの重い土壌が主体で、シャルドネ向...
オリの力で熟成、ルシアン・ル・モワンヌのモンラッシェ2007
- 2016/07/08
- 13:57

ボーヌのレストランで、日本人勢ががんばっている。1つ星「ル・ベナトン」は杉村圭史・樹里夫妻が共同経営者。和のタッチを生かした料理で人気が高い。徒歩30秒の場所にメゾン「ルシアン・ル・モワンヌ」を構えるムニエ・サウマが、足しげく通っている。 カーヴから、ボトルをぶら下げて、ランチを楽しんだ。2016年は雨と涼しさに悩まされているが、この日は快晴。日本庭園の雰囲気もあるテラスでのアペリティフは「サロン 200...
きずな詰まる古酒でもてなし、ピエール・モレのバタール・モンラッシェ1989
- 2016/07/06
- 06:54

ピエール・モレは、ムルソーとピュリニー・モンラッシェの発展史を探るときに外せない造り手だ。ひとつはドメーヌ・ルフレーヴの醸造長を1988年から20年間にわたって務めたこと。故アンヌ・クロード・ルフレーヴの信頼が厚く、株主の反対を受けながら共に働き、98年に完全にビオディナミに転換した。「着任したときは、薬品づけの畑のひどい状態にがっかりした。ビオディナミへの転換のエンジンはアンヌ・クロードだが、私も車を...
汲めども尽きぬ香り、アルマン・ルソーのシャンベルタン2007
- 2016/07/05
- 16:43

ジュブレ・シャンベルタンを代表するドメーヌ・アルマン・ルソー。グランクリュのシャンベルタンとシャンベルタン・クロ・ド・ベーズを筆頭に、15ヘクタールを超す畑を所有する。1990年代後半からの品質向上は著しいが、その陰には世代間闘争もあった。 5月に93歳で亡くなったシャルル・ルソーは、自己主張が強かった。入口脇の部屋に陣取り、商談を取り仕切った。82年に参画した息子エリックとは、栽培方法でたびたび衝突した...
ジュブレ・シャンベルタン霜害、ルソー、デュガ・ピィは30%以上の収獲減
- 2016/07/05
- 06:27

4月にブルゴーニュ地方を襲った霜害は、コート・ド・ニュイ地区のジュブレ・シャンベルタン村にも大きな被害をもたらした。 ドメーヌ・デュガ・ピィのロワック・デュガは「ジュブレ・シャンベルタンのヴィラージュの30から40%が被害を受けた。マジ・シャンベルタン、シャルム・シャンベルタンは大丈夫だった。標高の高いヴィラージュの畑が被害を受けたのが通常とは違う」と語った。 ドメーヌ裏のジュブレ・シャンベルタン・...
20代の当主が全房発酵に転換、アルヌー・ラショーのヴォーヌ・ロマネ
- 2016/07/04
- 15:08

世代が代わると、ワイン造りも変わる。ブルゴーニュの生産者でもありうるが、困難も伴う。何十年間もやってきた栽培や醸造のやり方を、息子が変えたら、父親は愉快ではないだろう。農民にとっての存在証明みたいなものだから。 ただ、技術も進化すれば、市場も変わるわけで、子供の変化を許容できるドメーヌだけが生き残れる。ヴォーヌ・ロマネのアルヌー・ラショーもその一つだ。シャルル・ラショーが全権を握った2012年ヴィン...
恐るべき試飲能力のルモワスネ、ジュブレ・シャンベルタン・クロ・サンジャック1969
- 2016/07/03
- 22:03

ブルゴーニュで古酒を所有しているネゴシアンはほとんどない。一握りのライブラリーワインを保存して、大半は売り払われている。唯一の例外がルモワスネだ。大手ワインショップチェーン「ニコラ」のクルティエも務めた前当主ローラン・ルモワスネが、1950-80年代に、自家元詰めを始める前の栽培農家から、優れたワインを買い付けていた。 ボーヌの街中にある本社の地下カーヴは宝の山だった。60年代や70年代のミュジニーやリシ...
ブルゴーニュ2016年、モンラッシェやバタール・モンラッシェは絶望的
- 2016/07/03
- 15:25

4月末にブルゴーニュ全域を襲った遅霜の影響は想像以上に深刻で、ピュリニー・モンラッシェとシャサーニュ・モンラッシェのグランクリュの畑の白ワイン生産は、全滅に近い可能性もある絶望的な状況だ。 サン・トーバンに本拠を置くドメーヌ・マルク・コラン・エ・セ・フィスのマルク・コランは例年、それぞれ0.1ヘクタールの畑からモンラッシェとバタール・モンラッシェを各1.5樽を生産している。マルク・コランは「これまでに...
熟成途上の1999、ルソーのシャンベルタン・クロ・ド・ベーズの強さと繊細さ
- 2016/07/02
- 01:32

日本は質量ともに英国、米国に次ぐブルゴーニュ大国だ。手に入らないドメーヌ物はほとんどない。その道を切り開いたがエージェント業の坂口功一さんだ。ルフレーヴ、ソゼ、ルソー、デュガ・ピィなどスーパースターはすべて、坂口さんを信頼し、輸出を任せた。ブルゴーニュ愛好家はいくら感謝しても、感謝したりない。 縁あって、「ソシエテ・サカグチ」の本拠があるパリ近郊のシャトー・デ・クロに宿泊した。シャルル・ド・ゴー...