無冠の帝王?シャルル・エドシック
- 2014/01/31
- 05:58

日本で最も知られざる優れたシャンパーニュのメゾンが、シャルル・エドシックだ。 3つのエドシック系ではぬきんでいている。ピペ・エドシックが有名だが、こちらは手造り感を残している。品質の決め手はやはりブドウ。ヴァンクレールを醸造責任者のティエリー・ロゼとともに試飲したが、アルコール度も高く、何よりいいクリュのブドウを使っている。 ノンヴィンテージのリザーブワイン比率も40%と高い。クリュッグを思わせ...
新ヒーロー誕生、セドリック・ブシャール
- 2014/01/30
- 16:20

シャンパーニュの新ヒーローと言っていいだろう。 遅ればせながら、セドリック・ブシャールを訪ねた。10年以上前に、アンセルム・セロスを訪ねたときと同じ衝撃を受けた。シャンパーニュである前にワイン。セドリックはそもそも、泡が嫌いだから、スティルワインを造りたいという男だ。気圧も4・5程度に低めに抑えている。暗くて、冷たいかーヴで3時間近く、語りながら、試飲しながら、41歳の男の才能に震えた。 総生産...
ボーヌの夜、コシュ・デュリの赤と子牛で
- 2014/01/29
- 17:23

やっぱり、マ・キュイジーヌはいい。 ブルゴーニュ3日目の28日。早めに仕事が片付いて、ボーヌ中心部のマ・キュイジーヌへ。取材データ整理に忙しくて、夜は部屋食ばかりだったので、初のディナー。ボーヌにきたら、必ず立ち寄るビストロだ。30分前で、予約がとれたから驚いたら、それは7時という早い時間だったから。店を出る9時ごろには満員だった。アメリカ人多し。夏はもっと混むけれど。 気軽に26ユーロのムニュで...
シャンパーニュには人材、資金、人脈が必要
- 2014/01/29
- 00:02

新参者がシャンパーニュに出にくいのは理由がある。小規模なレコルタン・マニピュランは別として、資金とブドウの手当てが容易ではないからだ。 バロン・ド・ロスチャイルドのシャンパーニュが短期間で成功したのは、その2つをクリアしているから。金融業も展開する一族だから、資金に不安はない。10年、20年先を見通した戦略をたてられる。 とはいえ、ブドウの手当てはお金だけでは無理。農家に入り込んで、信頼を得なければ...
クリスタルの原動力、ジャン・バティスト・レカイヨン
- 2014/01/28
- 05:18

ルイ・ロデレールの高品質の秘密。それは、醸造責任者のジャン・バティスト・レカイヨンだ。 クリスタルのヴァン・クレールの試飲をして思った。 十数種の樽やステンレスタンクに貯蔵されたグランクリュの2013年。ビオディナミで耕作されている畑も多く含まれる。ルイ・ロデレールは実は、最大のビオディナミ生産者でもある。 それもすごいが、ほぼすべてが潜在アルコール度11%を超え、ピュアでクリーン。それぞれの特色を聞...
シャンパーニュ1日目からタイ料理をポル・ロジェと
- 2014/01/27
- 05:42

フランス料理も和食の影響が強い。 ポル・ロジェ社長のローラン・ダルコートとランチに出かけたエペルネの「ル・7」(ルセット)。ホテル・ベルソーのカジュアル・ビストロだが、ここでの料理で痛感した。ルセットとはレシピの意味。 前菜のスモークサーモンは、タイ料理のスウィートチリソースを添えて。メインはまるでタイ料理。エビにグリーンカレーのソースをかけて、タイ米とともに。シャンパーニュ初日の1月20日から...
日本人が年間に飲むワインは1人4本
- 2014/01/18
- 16:01

日本人の1人当たりのワイン消費量は4本に増えたことが、ワイン&スピリッツの国際見本市「ヴィネクスポ」(グザヴィエ・ド・エザギール会長)の調査でわかった。 ヴィネクスポ事務局の委託を受けて、英国の市場調査会社IWSRが調査した。2008年は1人当たり2・3リットル(約3本)だったが、2012年は3リットル(4本)に増えた。2013年から2017年まの5年間でさらに増えて3・2リットル(約4・2本)になると予想される。1人当たりの消...
2001のデュガ・ピィは飲み頃
- 2014/01/16
- 00:49

セロスのシャンパーニュを飲むと困る。後が続かないのだ。 印象が強すぎて、白ワインはほぼ無理。よほどのコルトン・シャルルマーニュかモンラッシェ級でないと。赤ワインも、それなりに熟成した優れた造り手のいい畑でないと、太刀打ちできない。口の中と心の中の余韻に負けてしまうのだ。 それは経験からわかっている。なので、今回はデュガ・ピィを持ってきた。ジュブレ・シャンベルタンのプルミエクリュ。フォントニー、コ...
ブルゴーニュとシャンパーニュ、世界遺産に申請へ
- 2014/01/16
- 00:47
フランス政府はブルゴーニュのクリマとシャンパーニュの畑やセラーをユネスコの世界遺産候補に申請することを決めた。 文化・通信省が発表した。昨年は見送られ、ショーヴェ洞窟とオーヴェルニュの火山地帯が選ばれた。認められれば、フランスのワイン産地としてはサンテミリオンに次ぐものとなる。ブルゴーニュの申請運動の中心人物であるDRC共同経営者のオベール・ド・ヴィレーヌ氏は喜びのコメントを発表した。...
フランス人のスパークリング消費量は年間5・5本
- 2014/01/15
- 00:40
フランスは世界一のスパークリングワイン生産国で、1人当たりの消費量も年間5・5本と世界一であることがわかった。 フランス食品振興会が、フランス農水省の政策実施機関「フランスアグリメール」の調査結果を発表した。2011年の世界のスパークリングワイン生産量は1870万ヘクトリットルで、約25億本相当。ワイン全生産量の約7%にすぎないが、2006~2010年までの5か年平均より約8%増加した。この10年で、スパークリングワイン...
活力あふれる香りの万華鏡、セロスのシュブスタンス
- 2014/01/15
- 00:39

セロスのことを口に出すのがちょっと恥ずかしい。 猫も杓子も…という感じで過熱している。セロスばかり飲んでいるわけにはいかない。世界が広がらない。リューディはいくらなんでも高価すぎる。とはいえ、大切な食事会には重宝する。 そこそこストックがある。ソレラシステムのように、毎年、買っていたからだ。新しいシヤンパーニュは、確認の意味ですぐに開けるが、セロスは急ぐ必要もない。というか、3年はおかないともった...
ドルーアン、半世紀のコレクションをオークションに
- 2014/01/14
- 00:43
ブルゴーニュを代表するネゴシアンのジョゼフ・ドルーアンが、3月にニューヨークで開かれるサザビーズのオークションに、1925本のワインを出品する。 1961年から2010年にわたるほぼ半世紀の蔵出しコレクションで、目玉は1971、78、85年を含むミュジニー17ヴィンテージのほか、ボンヌ・マール、シャンベルタンも出品される。47万5000~65万ドルの売り上げが予想されている。...
品格ならリースリング、ローゼン博士のエロイカ
- 2014/01/14
- 00:43

白ワイン選びは、その人の嗜好を物語る。 シャルドネを選ぶ人は保守的な面がある。ソーヴィニヨン・ブランを選ぶ人は変わり者だ。シュナン・ブランを探す人はマニア。リースリングを選ぶ人はお友達になりたい。上品で、食事の友にふさわしく、主張もある。 問題は、その気品のあり方だ。残糖の多いものは食事向きではない。とはいえ、ボーン・ドライも色気がない。きれいな酸があり、アルコール度は低く、熟した果実とのバラン...
90点以下を狙え、カレラ・ミルズの1991
- 2014/01/10
- 01:04

カリフォルニアの古いピノ・ノワール探しでは、パーカー・ポイントが参考になる。点数が低いものを探すのだ。 カレラのミルズ・ヴィンヤードの1991。調べたら88点だった。茎っぽくて、ヴェジタルと評価している。これは買いだ。直感的に思った。 パーカーがカリフォルニアのピノに求めたのは、完熟した果実、凝縮感、豊かで華やかな香り。ビッグ・フレイヴァーのワインだ。行き着いた先はマーカッシンやオベールだった。アルコ...
カリフォルニア、干ばつの危機
- 2014/01/10
- 01:02
米カリフォルニアは2013年に歴史的な干ばつを記録し、ワイン生産者から2014年の作柄を不安視する声が出ている。 米国国立気象局によると、サンフランシスコは1849年以来で最も降雨量が少なかった。ダウンタウンで観測された最大の雨量は11月20日の1・9ミリだった。ロサンゼルスの年間降雨量は9・1ミリで、平年の37・8ミリを下回り、史上最も乾燥した年になった。 非常事態宣言は出ていないものの、冬季に雨と雪がないと、カリ...
シャンソン、クロ・デ・ムーシュ2013は生産せず
- 2014/01/09
- 23:42

ブルゴーニュのネゴシアン「シャンソン」社が所有するボーヌの有名なプルミエクリュ、クロ・デ・ムーシュの2013年は、ヒョウ害で生産できないことがわかった。 25・18ヘクタールのクロ・デ・ムーシュは、白も赤も産するボーヌで最も重要なプルミエクリュの一つ。ドメーヌ・ドルーアンのシンボル的なワインで、赤と白を各6・8ヘクタール所有する。シャンソン、フランソワ・ゴヌーなども所有する。白ワインを産するシャンソンの区...
コサールは熟成で真価、ピュリニー2001
- 2014/01/09
- 00:55

ワインでもロックでも、古典に立ち返るのは必要だ。発見がある。 年末にカリフォルニアの冷涼シャルドネばかり飲んでいる間に、ブルゴーニュを1本だけ開けた。フレデリック・コサールが2001、02年のみ手がけたピュリニー・モンラッシェ・レ・リュショ。ドメーヌ・ド・シャソルネイで幻のキュヴェとして話題になった。現在はネゴシアンとして生産している。 裏ラベルがないから、ドメーヌでフレデリックからもらったようだ。当...
ビル・ナンソンが発掘、隠れたブルゴーニュ生産者
- 2014/01/09
- 00:53
ブルゴーニュの評論家ビル・ナンソン氏が、隠れた10ドメーヌを、ワイン・サーチャーで発表した。ビル・ナンソンはファイン・ワインシリーズの著書「ブルゴーニュ」を発表している専門家で、ウェブサイト「バーガンディ・レポート」を運営している。 トップはジュブレ・シャンベルタンのDomaine des Tilleuls。ダミアン・リヴェラがコート・ド・ニュイ・ヴィラージュから、シャペル・シャンベルタンまで生産している。フィガロ紙...
カベルネ・ソーヴィニヨン、世界で最も人気の品種
- 2014/01/09
- 00:53
カベルネ・ソーヴィニヨンがスペインのアイレンを抜いて、世界で最も栽培されているブドウであると、アデレード大学の研究チームが発表した。 2010年には30万ヘクタールが植えつけられ、20年前の10万ヘクタールより大きく増えた。研究は世界のワイン栽培の99%をカバーする44か国の栽培を初めて集計したという。ボルドー原産のカベルネ・ソーヴィニヨンは新世界で人気を集め、全体の36%に当たるという。 メルローがカベルネ・...
ロバート・パーカー、世界的消費者イベントに乗り出す
- 2014/01/08
- 00:58

世界で最も信頼される評論家ロバート・パーカー氏が、アメリカン・エクスプレスと提携して、アジア、米国、ヨーロッパの9都市を回って、消費者にワイン解説と美食を供する初めての「ワイン・アドヴォケイト・グランド・ツアー」に2月から乗り出す。 アジアツアーは2月末から3月中旬にかけて、北京、上海、香港、クアラルンプール、シンンガポールで行われる。ボルドー、世界のカベルネ・ソーヴィニヨン、イタリアの偉大なテロワ...
プリューレ・ロックもはまった2004の落とし穴
- 2014/01/08
- 00:54

プリューレ・ロックといえども自然には勝てない。2004年はチャレンジングだったようだ。 定温倉庫から最近、取り出した中にプリューレ・ロックが1本だけ含まれていた。ニュイ・サン・ジョルジュのプルミエクリュを詰めたニュイ”1”(アン)。クロ・デ・コルヴェの畑から造られるワインの中では最も低いレンジに属する。 2004年は難しい年だ。冷涼で、雨がちだったため、テントウムシが大量に発生した。ビオディナミの生産者は殺...
ピーター・マイケルのピノに100点…パーカー
- 2014/01/07
- 00:38

米国の評論家ロバート・パーカー氏が、最新のワイン・アドヴォケイトで、カリフォルニア・ソノマ郡のピノ・ノワールなど3銘柄に100点をつけた。 パーカー氏が2009~2013年を試飲した。100点を獲得したのは、ピーター・マイケル・ワイナリーのピノ・ノワールのクロ・デュ・シエル2010とマ・ダンスーズ2010。いずれも冷涼なトゥルー・ソノマ・コーストのフォートロス・シーヴューAVAから産する。ピーター・マイケルが生産する3つ...
高コスパのナパ・セラーズ、カルトワインをほうふつ
- 2014/01/07
- 00:37

ちょっと驚いたカリフォルニアワインがある。しっかりした味わいと値段の安さに。その名はナパ・セラーズ。 ありきたりな名前だ。ラベルも冴えない。でも、手に持ったときの感触は只者ではない。オーパスワンのように重いボトルだ。期待を抱かせる。ワイナリーも、オーパスワンやロバート・モンダヴィが軒を連ねるオークヴィルにある。 オークヴィルは隣接するラザフォードと並んで、カリフォルニアの、いやナパヴァレーの中心...
ダックホーン、ダックコマンダーを訴え
- 2014/01/07
- 00:35
カリフォルニア・ナパヴァレーに本拠を置くダックホーン・ヴィンヤードが、商標権をめぐって、ダック・コマンダーを発売したトリンケッロ・ファミリー・エステートを訴えている。 ダック・コマンダー・ブランドは、トリンケッロがルイジアナに本拠を置くロバートソン・ファミリーと提携して生産。トリプル・スレット・レッド・ブレンド、ウッド・ダック・シャルドネ、ミス・プリス・ピンク・モスカートの3種があり、ウォルマー...
アンダーソンヴァレーから驚異のケイネズ
- 2014/01/05
- 19:32

カリフォルニアの冷涼ワインを探す場合、産地は重要なポイントになる。代表産地に、アンダーソン・ヴァレー、ソノマ・コースト、ロシアン・リヴァー・ヴァレー、カーネロス、サンタ・リタ・ヒルズがある。 カリフォルニア・ワインズ・サミットで、ピノ・ノワールを北から南に概観するブラインド試飲で、おおまかにつかめた。アンダーソン・ヴァレーからサンタ・バーバラ郡まで760キロ。太平洋の寒流の影響を受けたピノ・産地が...
プリムールとヴィニタリー、2014から連続する日程で実施
- 2014/01/05
- 19:30

ボルドーの格付け生産者で作るユニオン・デ・グランクリュ・ド・ボルドー(UGCB)が主催するプリムール(先物取引)とイタリア最大の見本市ヴィニタリーは、バイヤーやメディアの便宜を図るため、2014年から4年間にわたり、両者の日程を調整して実施する。 プリムールと、ヴェローナで開かれるヴィニタリーの日程を連続的に設定して、世界からヨーロッパに集まるワイン業界関係者の便宜を図る。2014年はプリムールが3月31~4月5...
バランス目指すサンディ、カリフォルニアの最前線
- 2014/01/04
- 19:39

カリフォルニアで起きている新しい動きを象徴するのが、IPOB(In Pursuit of Balance)だ。バランスのとれたピノ・ノワールとシャルドネを追求する生産者が集まっている。 その多くをカリフォルニア・ワインズ・サミットでも試飲して、衝撃を受けた。発起人は、ソノマ・コーストの先駆デヴィッド・ハーシュの娘ジャスミンと有名ソムリエのラジャ・パー。2011年に初イベントを開いた。生産者だけでなく、小売商、ソムリエ、ジ...
飲み頃ポンソ、2001を江戸前寿司と
- 2014/01/03
- 18:54

寿司と合うのは泡モノか白ワインだ。わかってはいるが、泡、白と通すのは飽きる。赤も少しは飲みたい。 そんなときに、果実味やタンニンが強いワインは使えない。普通に考えると、ブルゴーニュがいい。ただ、若いヴィンテージやグランクリュは避けたい。若いとタンニンがこなれていない。グランクリュは個性が強すぎて、寿司にもワインにも不幸な出会いとなる。 そんなことを考えて、セラーをのぞいたら、おあつらえのボトルを...
ジョン・ボネが選ぶ2013年の10本
- 2014/01/02
- 19:44

サンフランシスコ・クロニクル紙のワイン担当編集者ジョン・ボネ氏は、2013年で最も記憶に残った10本のワインを発表した。 トップはカリフォルニア・ナパヴァレーの3つのワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨンが飾った。シャペレの1982、ダンの1986、スポッツウッドの1982。シャペレはワインメーカーのキャシィ・コリソンが山岳部の畑であるプリチャード・ヒルの可能性を開拓したワイン。スポッツウッドはトニー・ソーターが手...
ナパの新星アルノー・ロバーツにシャブリを連想
- 2014/01/02
- 18:42

カリフォルニアのブルゴーニュ品種に、新たな動きが現れている。冷涼な気候から抑制されたワインを造る。2013年10月に行われたカリフォルニア・ワインズ・サミットの最大の発見だった。 気になる造り手を年末に立て続けに飲んだ。まずはアルノー・ロバーツから。サミットで白ワインの新潮流を紹介したサンフランシスコ・クロニクル紙のワイン編集長ジョン・ボネのお気に入り。2012年のクロニクル紙のワインメーカー・オブ・ザ・...