ルロワ唯一のオフヴィンテージ、最後の2004年を開ける
- 2013/12/10
- 00:34
オフヴィンテージのないドメーヌ・ルロワの唯一の例外が2004年だ。ラルー・ビーズ・ルロワの心の支えだった夫マルセルが夏に亡くなった。看病で畑の対処が遅れた。グランクリュとプルミエクリュはすべて格下げして、村名とブルゴーニュACとして詰めた。

この年は雨がちで、多くの造り手がかび対策に頭を悩ませた。全房発酵するビオディナミの造り手は、レディ・ビートルが発生して、入念な処理を強いられた。ロマネ・コンティの04は影響をほぼ感じさせなかったからさすがというべきか。チームで作業しているところは違う。ドメーヌ・ルロワはより個人的な色彩が強い。
高級居酒屋に持ち込んだのは、04のブルゴーニュAC。ブレンドされている畑が、グランクリュのクロ・ド・ラ・ロッシュ、クロ・ド・ヴージョ、コルトン・レナルド、プルミエクリュのサヴィニ・レ・ボーヌ・レ・ナルバントン、ヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリュ、村名のポマール・レ・ヴィニョ。普通なら飲めないワインばかり。07年に7000円で購入した最後の1本を開けた。

魚しか出てこない店では、なるべく濃くないピノ・ノワールがいい。というわけでこれを引っ張りだした。以前と同じ印象を抱いた。オレンジの皮、枯れ葉、ウイキョウの香り。スパイシーで甘酸っぱい。全房発酵による複雑さがあるが、色は透明ではない。レディ・ビートルの影響だ。ビオディナミの生産者は殺虫剤をまかないから、虫がブドウの房の内側にもぐりこんでしまう。虫の体液(リフレックス・ブラッド)などがワインに混じったため、濁りのある味わいになってしまったと見られる。

醸造的に正しいかは別として、うまみはあるから困ってしまう。畑のポテンシャルがそれだけあるということか。ダシ的なエキスは十分だが、余韻は短い。ボディは作れても、余韻は作れない。アペラシヨンもわからない。テロワールの純粋表現者といえども、ブレンドしては無理だ。さすがのマダムも全能ではなかった。しかし、貴重な体験であった。

というようなことを考えながら、さわらや太刀魚を食べ続けた。
ルロワは後半になってグーッと伸びる……ことはなく、それでも楽しませてくれた。動物的でないため、分厚くて、新鮮な魚との相性もよかった。この夜の主役はトリンバックのクロ・サンテューヌだった。

(2013年12月 東京・六本木の「青華こばやし」で)
ドメーヌ・ルロワ ブルゴーニュ 2004年
購入:都内のショップで7000円
死ぬまでにもう一度飲みたい度:86点

この年は雨がちで、多くの造り手がかび対策に頭を悩ませた。全房発酵するビオディナミの造り手は、レディ・ビートルが発生して、入念な処理を強いられた。ロマネ・コンティの04は影響をほぼ感じさせなかったからさすがというべきか。チームで作業しているところは違う。ドメーヌ・ルロワはより個人的な色彩が強い。

高級居酒屋に持ち込んだのは、04のブルゴーニュAC。ブレンドされている畑が、グランクリュのクロ・ド・ラ・ロッシュ、クロ・ド・ヴージョ、コルトン・レナルド、プルミエクリュのサヴィニ・レ・ボーヌ・レ・ナルバントン、ヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリュ、村名のポマール・レ・ヴィニョ。普通なら飲めないワインばかり。07年に7000円で購入した最後の1本を開けた。

魚しか出てこない店では、なるべく濃くないピノ・ノワールがいい。というわけでこれを引っ張りだした。以前と同じ印象を抱いた。オレンジの皮、枯れ葉、ウイキョウの香り。スパイシーで甘酸っぱい。全房発酵による複雑さがあるが、色は透明ではない。レディ・ビートルの影響だ。ビオディナミの生産者は殺虫剤をまかないから、虫がブドウの房の内側にもぐりこんでしまう。虫の体液(リフレックス・ブラッド)などがワインに混じったため、濁りのある味わいになってしまったと見られる。

醸造的に正しいかは別として、うまみはあるから困ってしまう。畑のポテンシャルがそれだけあるということか。ダシ的なエキスは十分だが、余韻は短い。ボディは作れても、余韻は作れない。アペラシヨンもわからない。テロワールの純粋表現者といえども、ブレンドしては無理だ。さすがのマダムも全能ではなかった。しかし、貴重な体験であった。

というようなことを考えながら、さわらや太刀魚を食べ続けた。
ルロワは後半になってグーッと伸びる……ことはなく、それでも楽しませてくれた。動物的でないため、分厚くて、新鮮な魚との相性もよかった。この夜の主役はトリンバックのクロ・サンテューヌだった。

(2013年12月 東京・六本木の「青華こばやし」で)
ドメーヌ・ルロワ ブルゴーニュ 2004年
購入:都内のショップで7000円
死ぬまでにもう一度飲みたい度:86点
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