カリフォルニア最良のスパークリングロゼ、リチャード・G・ピーターソン

　ナパヴァレーのハイディ・ピーターソン・バレットさんは、ロバート・パーカー氏が「ワイン界のファースト・レディ」と呼ぶワインメーカーだ。ラルー・ビーズ・ルロワやヘレン・ターリーも選ばれているが、彼女は最も知名度が高い1人だろう。スクリーミング・イーグルの初代ワインメーカー。ダラ・ヴァレ、グレース・ファミリーなど有名なカルトワインを手掛けた。1976年のパリの試飲会の白ワインで1位になったシャトー・モンテリーナ当主ボー・バレットの夫人でもある。ケンゾー・エステートのワインメーカーも務める。


　彼女には偉大な父がいる。バレット家に劣らぬ名門の家系なのだ。リチャード・G・ピーターソン氏。ガロを経て、ボーリューやアトラス・ワインメーカーのワインメーカーを務め、カリフォルニアのワイン史を作った1人だ。彼は所有する0.8ヘクタールのピノ・ノワールの畑からごく少量のスパークリングを造っている。それが「リチャード・G・ピーターソン　ブリュット・ロゼ　ナパヴァレー」だ。


　シャンパーニュのキュヴェプレスティージュ並みの価格だが、その価値はある。赤銅がかったピンク色。野イチゴ、ブリオッシュ、スモークにシナモンのタッチ。ピノ・ノワール100％のブラン・ド・ノワールだが、フェノールのタッチは軽やかで、質感はクリーミィ。泡は細かい。中盤から持ち上がる軽やかな果実味がある。


　生産量は395ケース。ドメーヌ・カーネロスでティラージュ（瓶詰め）して、7年間、セントヘレナのカーヴで熟成された。力強いカベルネで有名なヨーントヴィルの畑から、このデリカシーとフィネスのあるスパークリングが出来るのが驚き。カリフォルニアのスパークリングロゼは重くなりがちだが、最もエレガントな1本。さすがはハイディの父親だ。この親にして娘ありなのだろう。メゾンのプレスティージュロゼと目隠しで試飲すると、面白いだろう。


　このスパークリングはハイディとレストラン実業家のジョン・シュワルツ氏が設立したジョイント・ヴェンチャー「アミューズ・ブーシュ・ワイナリー」から発売される。ハイディの手掛ける「レッドワイン　ナパヴァレー　2012」も試飲した。メルロ95％とカベルネ・フラン5％。ダークベリーのジャム、ローズマリー、濃厚で、深みがある。2012の凝縮感がよく出ている。ボルドー右岸のハイディ流解釈だった。


　
2015年12月10日　カリフォルニア・ナパヴァレーのナパのダウンタウンで

アミューズ・ブーシュ・ワイナリー　レッドワイン　ナパヴァレー　2012
90点
希望小売価格：35000円
リチャード・G・ピーターソン　ブリュット・ロゼ　ナパヴァレー　2005
92点
希望小売価格：28000円
輸入元：中川ワイン