ダルマイヤック2000、優良なれどタンニン処理にやや難
- 2014/10/12
- 23:25
デカンタージュの基本は2時間。ボルドーの生産者と古いヴィンテージを飲む場合、ソムリエがそうするケースが圧倒的に多い。
ヴィンテージにもよるが、これ以上だと酸化が怖いし、短いと効果が出ない。食事の時間を考えると、最後のグラスは4時間近くデカンタージュしている計算になる。

今回開けたシャトー・ダルマイヤックの2000も、それで正しかった。1日目はそのまま。硬かった。2日目は1時間のデカンタージュで始めたが、開いたのは4時間たってから。ボルドーを開ける機会が少ないので、すっかり、間合いを忘れてしまった。
ダルマイヤックはクレール・ミロン、ムートン・ロートシルトと並んで、故バロネス・フィリピーヌ・ド・ロートシルトの一族が所有するポイヤックの格付けシャトー。3つの中では最も地味な5級だ。かつてはムートン・バロンヌ・フィリップと呼ばれ、1989年から現在の名前になった。その88年を飲んで、初めてボルドーがおいしいと思った。思い出深い造り手だ。
黒みの強いルビー。スモーキーで、アーシー。コーヒー、ローストしたハーブの香り。熟成したボルドーの美しさにあふれているが、タンニンの硬さが気になる。果実味はしっかりあるが、バランスがとれていない。近年のダルマイヤックとはそこが大きく違う。重箱の隅をつつくようだが。

2000年以降の優良ヴィンテージは、ほかに2005、2009、2010がある。2000はややバランスに欠ける。ボルドーの醸造で、ここ10年で大きく変わったのは、なめらかなタンニンの抽出だ。そこが追い付いていない。
ムートンを高みに押し上げた現在の技術責任者フィリップ・ダルーアンが着任したのは2003年。フィリップは3つの格付けシャトーの面倒を見ているが、前任のパトリック・レオンのようにムートン・カデのようなブランド・ワインは担当していない。それでは、集中できないからだ。パトリックはそこで苦労したのかもしれない。フィリップは、ムートンの1990が不調なのは選別が不十分だったからと話していた。現在のボルドーは、醸造設備、運営体制など細部のチューニングを詰めないと、ちょっとした差がワインに表れる。ごまかしようがない。それだけ、ワインが正確になっている。
今の基準からすればやや粗いタンニンは、4時間たっても変わらなかった。ヴィンテージが良好なら、いいワインはできるが、技術が進化すれば、さらにワインの質は改善される。飲み手のパレットのハードルも上がる。F1カーのチューニングにもたとえられるボルドーの競争の激しさを実感した。
このワインを今買うと、10年前の購入時の3倍近い1万円する。2000のプリムールを倉庫から出してきた。安く買ったボトルを当分、ゆっくりと味わうことにしよう。
(2014年10月12日 自宅で)
シャトー・ダルマイヤック 2000
購入:楽天市場で 3600円(2004年)
月に一度は飲みたい度:90点
ヴィンテージにもよるが、これ以上だと酸化が怖いし、短いと効果が出ない。食事の時間を考えると、最後のグラスは4時間近くデカンタージュしている計算になる。

今回開けたシャトー・ダルマイヤックの2000も、それで正しかった。1日目はそのまま。硬かった。2日目は1時間のデカンタージュで始めたが、開いたのは4時間たってから。ボルドーを開ける機会が少ないので、すっかり、間合いを忘れてしまった。
ダルマイヤックはクレール・ミロン、ムートン・ロートシルトと並んで、故バロネス・フィリピーヌ・ド・ロートシルトの一族が所有するポイヤックの格付けシャトー。3つの中では最も地味な5級だ。かつてはムートン・バロンヌ・フィリップと呼ばれ、1989年から現在の名前になった。その88年を飲んで、初めてボルドーがおいしいと思った。思い出深い造り手だ。
黒みの強いルビー。スモーキーで、アーシー。コーヒー、ローストしたハーブの香り。熟成したボルドーの美しさにあふれているが、タンニンの硬さが気になる。果実味はしっかりあるが、バランスがとれていない。近年のダルマイヤックとはそこが大きく違う。重箱の隅をつつくようだが。

2000年以降の優良ヴィンテージは、ほかに2005、2009、2010がある。2000はややバランスに欠ける。ボルドーの醸造で、ここ10年で大きく変わったのは、なめらかなタンニンの抽出だ。そこが追い付いていない。
ムートンを高みに押し上げた現在の技術責任者フィリップ・ダルーアンが着任したのは2003年。フィリップは3つの格付けシャトーの面倒を見ているが、前任のパトリック・レオンのようにムートン・カデのようなブランド・ワインは担当していない。それでは、集中できないからだ。パトリックはそこで苦労したのかもしれない。フィリップは、ムートンの1990が不調なのは選別が不十分だったからと話していた。現在のボルドーは、醸造設備、運営体制など細部のチューニングを詰めないと、ちょっとした差がワインに表れる。ごまかしようがない。それだけ、ワインが正確になっている。
今の基準からすればやや粗いタンニンは、4時間たっても変わらなかった。ヴィンテージが良好なら、いいワインはできるが、技術が進化すれば、さらにワインの質は改善される。飲み手のパレットのハードルも上がる。F1カーのチューニングにもたとえられるボルドーの競争の激しさを実感した。
このワインを今買うと、10年前の購入時の3倍近い1万円する。2000のプリムールを倉庫から出してきた。安く買ったボトルを当分、ゆっくりと味わうことにしよう。
(2014年10月12日 自宅で)
シャトー・ダルマイヤック 2000
購入:楽天市場で 3600円(2004年)
月に一度は飲みたい度:90点
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