Q コンクールへの再挑戦を決めたのはいつ? A 今年に入ってからだが、2013年の東京での世界最優秀ソムリエコンクールの後から芽生えていた。自分が出場できる可能性があるうちに、挑戦したいという気持ちがあった。田崎さん(国際ソムリエ協会会長)からも、「できるうちにチャレンジした方がいい」と勧められていた。家族や仕事の面で、コンクールに出る環境が整ってきたというのもある。
Q やり切っていないという気持ちもあったのでは。 A 確かに。3位入賞したモントリオール大会で、日本人として豊かなパフォーマンスができなかったという悔いはある。硬くて、人間味が感じられなかった。グローバルな人間として、存在感を示したいという思いがある。東京のコンクールで、世界のパフォーマンスを見て、大きな刺激も受けた。
Q 舞台裏の審査員などを務めたのはプラスになった? A それは大きい。採点のポイントなどがわかるわけだから。パフォーマンスする際の重要な点が見えている。
Q 前回はトゥールダルジャン勤務だったが、現在のように幅広く活動している方が有利? A 環境が整ったというのはそういう意味。管理職になると自由な時間がなくなる。ベージュ アラン・デュカス東京の総支配人を務めていた時代は、審査員をしていたが、気持ちがあっても、ワインに触る時間がなかった。今回は、10月中は日中の仕事をしなかった。その分、収入は減るが、自分で時間が自由に使える意味は大きい。例えば、来月オーストラリアを視察してほしいと言われたら、今は会社や同僚のことを考えずに行くことができる。
Q (世界大会の出場権を決める)アジア・オセアニアのコンクールは2015年11月で、アルゼンチンでの世界最優秀ソムリエコンクールは2016年4月。どのように調整していくのか? A 今回のコンクールは14年ぶりの挑戦となったが、いい形でテンションを上げることができた。この調子で、まず残り1年間のテンションを高く保つ。課題はテイスティングの精度をさらに高めること。あとは知識を増やすこと。14年間で生産国が増えている。例えば、中国の生産者の細かい知識まで求められる。2013年の世界コンクールの決勝では、写真から生産者をあてる問題が出たが、産地をもっと回る必要もある。、世界の選手のレベルが上がっているのを実感した。ワールドカップ・サッカーの状況と似ている。日本の水準も上がっているが、世界の水準はそれ以上に上がっている。
Q 2000年の世界コンクールでは3位。今度の世界挑戦はそれ以上でなければならない。プレッシャーはあるのか? A プレッシャーという点では、今回の全日本コンクールの方が大きかった。日本代表を選ぶ戦いで、絶対に負けられないので。世界のレベルも上がっているから、チャレンジャーのつもりで立ち向かう。同時に、3位に入賞したという誇りも持っていく。次回の世界コンクールでは、過去の大会で入賞した選手はそう多くはないはずだから。